専門店で 選ぶべき理由
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しっき
漆器とは、
日本料理店などで見かける、
艶やかな黒・茶・朱色の
あの器のことです。
この漆器(しっき)ですが、街中の雑貨店や百円ショップでも多く出回っています。
専門店で漆器(しっき)をわざわざ選ぶ必要はあるのでしょうか?
だからこそ、私たちは専門店での購入を検討していただきたいと思っています。
このページでは、私たちがそのように考える理由について、漆器(しっき)独自の特徴とともに述べたいと思います。
なぜ器の「触」感が重要か?
「持ち上げて口をつけるという所作」が日本食にはあるからです。
そのため器の「口当たり」や「持ち上げた時の感触」がその食体験にもダイレクトに反映されます。
木は素材としても適度な柔らかさ・硬さがあるため、持ち上げたときには、陶器にはない肌触りの良さ・心地よさを感じることができます。また、食べ物を口に含んだ時の当たりのよさも格別です。他の器とぶつかってもカチャカチャした音も鳴りません。さらに断熱性にも優れているため、手で持つ・唇を近づける時に熱さを感じさせないだけでなく、アツアツの状態も長持ちさせることができます。
特に日本食に欠かせない味噌汁を味わうのは、漆器が最適と言えるでしょう。
なぜ専門店で購入すべきなのか?
漆器の質・丈夫さには「下地」が重要であり、外見・値段からの判断がかなり難しいからです。
漆器は一度塗るだけでは完成しません。研ぎ・塗り・乾燥の工程を最低でも4回、その後も数〜十数工程を経る必要があります。国産品の質の高いものの場合、輸入の安いものと比べてこの工程数が段違いに多いのです。使い続けるうちに「禿げてしまう」といったトラブルも少なく、乱暴にさえ扱わなければ十年以上持ち、むしろ使いこむほどに透明度が増していきます。さらに下地がしっかりしているため、禿げたとしても塗り直しで新品同様にすらなります。ただ残念ながら「下地」であるが故に表面からは見ることができません。
さらに言えば木地にも違いがあります。例えばこちらの漆器の違い、お分かりになりますでしょうか?
左は「木質」と呼ばれる木の粉末を樹脂で固めた木地を使用しているのに対し、右は「木製くりぬき(右)」という木からその形ををくり抜いて作成したものになります。比重の違いで木製くりぬき(右)の方が軽いことが多いですが、店頭で手に取っただけでは見分けがつきません。しかし使ってみると、熱伝導率の違いで、木製くりぬき(右)のものは熱いものを入れた時の熱の伝わりが木質(左)と比べて穏やかでその違いは明らかです。また、木質(左)はプラスチックが混入されているため、経年劣化により木地が崩れてしまうリスクがあるのに対し、くり抜き(右)タイプは、木そのもののためそのようなことはありません。
このように漆器の質・丈夫さを、外見から判断するのは極めて難しいのです。ならば価格で、と思われるかと思いますが、流通・装飾代の加算によって高価格をつけられているケースもあります。さらに、上塗り(下地を重ねて最後に塗る工程)のみ国内で行い「国産」と記載されていることも多々あります(弊社では「国内加工品」として区別しています。)
もちろん、樹脂製の漆器にも、下地の数を減らして価格を抑えたものにも良さ(>>詳しくは「漆器を知る」にて詳しく記載しております)があり、弊社もそのような製品を多数扱っております。ただその性質を理解せずに、外観や価格だけで判断してしまうと、思ったより使い勝手が悪いといった誤解にもつながり、せっかくの“触”感がいきる日本食の楽しみの損失につながりかねません。だからこそ、その性質をしっかり理解して購入することが大切だと、我々は考えております。
私たちは、大正五年 に浅草合羽橋での創業以来、「専門店」として漆器を扱っております。作成工程の理解に基づいて品質を正直に提示しているだけでなく、卸売りとしての仕入れているため、お値打ち価格での購入が可能です。まずは日々使う味噌汁椀から探してみてはいかがでしょうか?